家事事件
遺産分割、遺言、相続、離婚、養育費、成年後見など※この他にも多数の事例があります
家事調停
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相続・遺産分割
亡母の預金を引き出したと言われて困っています。(事案の概要)
私の兄妹が申立人になっている遺産分割調停申立書が裁判所から送られてきました。申立書には,私が亡くなった母を預かって面倒を見ていた時期に,母名義の預金からこまごましたお金が何度も繰り返し下ろされていることを引き合いにだされ,私が母に無断で預金を下ろしたかのような言い分が書いてありました。とてもショックを受けました。兄妹とも,体の自由が利かなくなった母を預かることを拒否して,私だけが面倒を見ていたのに,そのことを感謝するわけでもなく,かえって濡れ衣を着せて私を非難しているのです。もちろん,事実無根です。母がATMで操作できないというので,一緒に出向いて操作をしてあげたのは本当ですが,そのお金を私がとったりしていません。
(事案の処理と解決)
1 兄妹の主張は,損害賠償を求めるものか,不当利得返還を求めるものか不明瞭ですが,調停でまとまらない場合には,民事訴訟で争われるべきもののようです。
2 調停の席上では,まず,兄妹の言い分は推測に基づくもので,事実とは違っていることを丁寧に説明し,勝手に預金を下ろしたことがないことを明確にしました。兄妹は,預金の引き出しについて民事訴訟で別途解決する前提で,遺産分割を成立させたいということでした。しかし,それでは紛争が残ってしまい,解決が先延ばしされてしまいます。全体を解決しない限り調停に応じられない意向を明確にしました。
結果として,兄妹の言い分は取り下げられ,遺産を法定相続分に従って分割するほかには,今後どのような名目であっても金銭請求をしないことについて合意する内容を盛り込んだうえで,調停が成立しました。